EC物流、輸配送、倉庫、流通加工など、顧客のあらゆる物流ニーズに応える、総合物流企業のSBSホールディングス株式会社。2003年の上場以来、国内大手企業の元物流子会社を中心に30社以上のM&Aを行いながら、物流業界の中で大きな成長を遂げています。
こうした会社の規模拡大を受けて、2022年3月には本社とグループ会社16社の計1,500人が一か所に集結する「統合移転」を行いました。
ゼロインはこの統合移転において、移転に伴う総務業務の代行から、新オフィスにおけるサービスカウンター立ち上げやオフィス運用ルール設計・実装サポートまで、設計と実行の両軸で伴走しました。
今回の移転プロジェクトは、SBSホールディングス様の社内にオフィス移転経験者が不在、かつ既存ビルから1年以内に退去する必要がある、難易度の高いプロジェクトでした。ゼロインがこのプロジェクトにおいて、どのようなシーンでお役に立てたのか。統合移転プロジェクトを統括した総務部の部長 長谷川勝徳さんと課長 新津真一郎さんに話をうかがいました。
お客様情報
導入の目的・背景
ゼロインのサポート内容
ゼロイン:今回の統合移転は、グループ会社を巻き込んだ大規模な移転でした。どのような背景から移転が行われたのでしょうか。
SBSグループはM&Aを積極的に行っており、新たな会社が頻繁にグループ入りすることが特徴です。移転前に本社があった東京・錦糸町のオフィスは元々2フロアを借りており、M&Aによってグループ会社が増えるごとに増床を繰り返していました。
数年前に大きな会社がグループに加入した際には錦糸町オフィスのスペースでは間に合わなくなり、近辺のビルを新たに借りて、拠点を分散して構えていました。
そうした中で、規模の大きな東芝ロジスティクス株式会社(グループ化によりSBS東芝ロジスティクス株式会社に社名変更)がグループに加わることが決まりました。錦糸町オフィスの増床ができないか各所と交渉しましたが叶わず、グループ含めて一か所に集約可能な新宿への移転が決定しました。
ゼロイン:分散していたグループ会社を一か所に集約する「統合移転」がテーマでした。移転を通して、どのようなことを実現したかったのでしょうか。
新オフィスのグランドコンセプトとして掲げていたのは「交創(こうそう)」です。新オフィスでは、機能別ゾーニングにフリーアドレス席を取り入れ、働き方改革の推進を狙いました。
機能別ゾーニングとは、営業であればグループ各社の営業が集まり、管理部門であれば各社の管理部門が集まるゾーニングです。機能別ゾーニングによって会社間のナレッジ共有を促進し、シナジーを生み出すことを狙います。
これまでのオフィスでは、グループ会社別のゾーニングかつ固定席で運用したので、2ステップ、3ステップを飛び越えた高いレベルのオフィスを目指すことになったのです。
ゼロイン:固定席からフリーアドレスへ、会社別ゾーニングから機能別ゾーニングへと、大掛かりなプロジェクトになったと思います。プロジェクトはどのように進められたのでしょうか。
総務が主管部署で舵取り役を担っていたのですが、私たちは総務部に異動したばかりで、社内には今回のような大きな移転の経験者がいない状況でした。さらに、錦糸町オフィスの賃貸契約の関係で、1年以内に1,500名の移転を完了しなければならないスケジュール上の制約もあり、何をどのように進めていけば良いのか、わからない状態でした。
そこで、移転全体のPM設計やコンサルティングを専門パートナーに依頼したのですが、社内の総務業務の実行に不安があったため、専門パートナーの方に実行に強い総務のプロとしてゼロインさんを紹介していただきました。そうして、グランドコンセプトの実現に向けてどのように取り組めば良いのか、各パートナー企業の方々から知恵を拝借しながら、進めていきました。
ゼロイン:ゼロインに期待していただいたことは、どのようなことだったのでしょうか。
オフィスづくりにおいて、グランドコンセプトで目指すところは描けていましたが、「何をどう構築すれば良いのか」という具体的な実現手法を持っていませんでした。ですので、ノウハウを持っている専門家に一任したいと考えていました。
また、私たち総務2人が中心となり移転準備を進めていましたが、パワーが足りず、やらなければならないことに常に囲まれている状況でした。何から始めれば良いのか、何から処理すべきかをアドバイスしてくれるパートナーが必要だったのです。
ゼロイン:ゼロインの総務サポートが動きだしたのは、移転の1か月前でした。移転が迫っている中で、総務はどのような状況でしたか。
「やらなければならないこと」や「やりたいこと」は山ほどあったのですが、目の前に出てくるタスクを毎日必死にこなしていくような状況でした。
そうした状況で、ゼロインさんに常駐してサポートいただくことで初めて、やらなければならないことの中から優先順位をつけて対応できるようになりました。移転で大きな混乱が起きないように対応していただけたと感じています。
状況に応じて人数を増やしてサポート体制を強化してもらい、「いつまでに、どこまでやるのか」とスケジュールを調整いただきながら、段々と実現に向けて進めていくことができました。
ゼロイン:移転当日に社員のみなさまが混乱することなく、いつも通り業務を開始できるように、優先順位を決めてタスクを進めていました。ゼロインのサポートの中で印象に残っているものはありますか。
社員が新オフィスのことを理解できるように作成いただいた「オフィスの使い方マニュアル」は特に印象に残っています。給湯室や会議室など、オフィスのあらゆる場所には最低限の利用ルールがあります。そうしたルールや情報が一つにまとまったオフィスマニュアルは新オフィスの利用開始に向けて欠かせないものですが、自社では形にできていませんでした。
このマニュアルは、ゼロインさんがプロジェクトに参画した日の3週間後には社員に配布したかったので、非常に短期間で情報を集約して形にしていただきました。今でもそのマニュアルは更新して利用しており、新入社員のガイダンス資料としても活用しています。
その他にも、フリーアドレス化に伴うパーソナルロッカーの管理フロー構築や空きロッカーの棚卸も助かりました。どの会社のどの部署の社員にロッカーを貸与したのかがわかる管理台帳を作成していただきましたが、現在もこの台帳を使って運用していますよ。
当時は移転の適切なスケジュールや対応が必要な業務量の多さを知らなかったので置かれた状況で何とか対応しようとしていましたが、移転を終えた今、もう一度「当時と同じ状況で移転をする」となったら、絶対にスケジュールの見直しを求めます(笑)。ゼロインさんがいなかったら大変なことになっていました。
ゼロイン:ありがとうございます。短期間で移転を完遂できた要因は、どういったところにあると思われますか。
私たちが意思決定に集中できた部分が大きいと思います。「この情報があればできます」「ここを決めてください」というようなキャッチボールがあったので、何を判断すれば良いのかが明確にわかりましたし、こちらが「こんなことがしたい」と要望を伝えると具体的な形にして提案してくれたことがありがたかったです。
また、実現可能かわからなかった部分も、ゼロインさんに相談すると実現に向けて具体的に動いてくれました。判断に向けた情報収集と、判断した後の設計・実装の両方を担ってくれたことが、短期間での移転完遂につながったと思います。
その他にも、移転最中に錦糸町と新オフィスが並行運用される中で、ゼロインさんは両方のオフィスが安定運用できるよう、新オフィスの窓口となってくれました。新オフィスでは不慣れなことが多いため、社員からの問い合わせが大量に発生します。私たちが問い合わせ対応で別フロアに移動していると、新オフィスのサービスカウンターには誰もいなくなり、対応が滞ってしまいます。
そこで、ゼロインさんがサービスカウンターに常駐して問い合わせに対応してくれたことで、社員が「サービスカウンターに行けばすぐに聞ける」体制を構築できました。このような対応があったからこそ、社員が金曜日まで錦糸町オフィスで働いても、翌週の月曜日からスムーズに新宿オフィスで勤務できる環境が整いました。
ゼロイン:移転サポートを通じて感じたゼロインの特長をお聞かせいただけますか。
社員がオフィスで働き始めるために、総務は環境や運用ルールを整えなければなりませんが、ゼロインさんとは「こうすればできる」と実現に向けて前向きに会話をしながらプロジェクトを進められたことが記憶に残っています。
何か相談や質問をしたときに、「それはできません」という話をされたことはなく、何かしらの解決案や代替案を提示いただけました。こちらも安心して話をしやすく、経営や社員から依頼されたことを次から次へと相談したのですが、ゼロインさんが情報整理して優先順位をつけてくださり、こちらが判断するための準備をしてくれました。
また、一般的なコンサルティングは「絵は描くが、実行するのはあなた」となりがちですが、ゼロインさんは絵を描きながらその実現に向けて一緒に手を動かして伴走してくれました。準備にかけられる時間に余裕がない中で、スケジュール通り移転を行えられたのは、この実装支援があったからです。
社内に移転経験者がいない中、知見があるゼロインさんが一緒になってオフィス作りに伴走いただけたことで、非常に安心感がありました。
ゼロイン:「総務のみなさんの負担を減らしたい」「サービスカウンターを、社員の方にとって安心できる問い合わせ窓口にしたい」という想いで日々サポートをさせていただきました。
当社の社員は、常駐していたAさん(ゼロインスタッフ)を総務に新しく入った社員と認識していたようです。私たちも外注パートナーということをあまり意識していませんでした。Aさんは新オフィスのことを熟知していたので、社内には「Aさんにどんどん聞いて」と伝えてあり、多くの社員が「Aさん、Aさん」と話しかけていました。
印象的だったのは、サービスカウンターで社員から質問をされたときに、その場で判断できないことは「確認して、明日に回答します」とすべての質問を受け止めていたことです。質問したときに「わかりません」で終わってしまうと、社員は「サービスカウンターで聞いても無駄だ」と思い、質問されなくなってしまいます。
Aさんは質問をすべて聞き入れ、その後のフィードバックやフォローまできちんと対応していました。「サービスカウンターに行けば解決してくれる」という社員からの信頼が非常に重要で、総務のサービス品質につながったと感じます。
Aさんを自社社員のように感じられた理由は、総務のミッションを同じ目線で見てくれていると感じたからだと思います。プロジェクトのゴールに向けて、何事も「総務に代わって私がやります」「手を煩わせないように自分から動きます」というスタンスを常に感じていました。
ゼロイン:新オフィスでの運用づくりとして、備品購入フローの全社統一化、座席管理システムの導入、サイネージ運用、サービスカウンター立ち上げもサポートさせていただきました。オフィス移転によって働き方やオフィスの在り方も大きく進化したと思いますが、こうした取り組みの実現から見えてきた、今後の展望をお聞かせいただけますか。
テレワークが落ち着いてきたことで出社率が上がっており、ミーティングスペースが活発に活用されています。ファミレス席も用意しており、朝はファミレス席で仕事、お昼はランチと、若い社員を中心に非常に好評です。
座席管理システムが数か月前から稼働し始めたので、今後はオフィスがどのように活用されているのかをデータを通して分析する予定です。データを見れば席やエリアの使用状況がわかり、実際のオフィスの使われ方にもとづいてレイアウト変更を検討できるので、より使い勝手の良いオフィスへと進化させていくことができます。
実は今回の移転で固定席からフリーアドレス席への変更に伴い、袖机がなくなるため「紙の利用を半分にしよう」という号令をかけて、紙の利用を大幅に減らす取り組みを行いました。当初は「半分に減らすことは難しい」という声もありましたが、グループ各社の協力もあり紙問題を乗り越えることができました。今では紙を必要以上に利用しない働き方が当たり前になっています。
オフィスを変化させていくことで、社内の働き方も進化していきます。どのような働き方になっていくのか、新しい形が次々に生まれてくるので、今後も理想のオフィスの形を目指しながら進化していきたいです。
ゼロイン担当者の想い
移転初日に現地で立ち合いをさせていただきましたが、朝9時に社員のみなさまがいつもと変わらずに業務を開始されている姿を拝見し、ほっとした気持ちになったことを思い出します。移転完了以降もオフィスが進化し続けているという話を伺い、大変嬉しく思います。
今回の移転プロジェクトはスケジュールに制約があり、スピード感をもって取り組むことが重要でした。グループ会社が集まる大規模な移転でしたが、SBS様と密にすり合わせを行いながら着実にプロジェクトを進められたことで、スケジュール通りに移転を終えることができました。ゼロインから提案させていただく場面も多々ありましたが、SBS様が素早く的確に要望を伝えてくださったからこそ、軌道修正や実行をスムーズに行えました。
サービスカウンターの立ち上げ時には、新オフィスの問い合わせ総合窓口として機能させるために、社内の運用について積極的に情報収集を行い、問い合わせに迅速に応えられるよう工夫をしました。「ゼロインができることは何か」「社員のみなさまにより快適に過ごしていただくために、どのように行動すれば良いか」を考え、小さなご要望も聞き逃さず、何らかのアクションをすることを心掛けておりました。
「No」を言わず実現する方法を模索して、お客様に伴走し、お客様と共創するプロセスがゼロインらしさです。今後も総務のプロとしてご相談いただけるよう、邁進してまいります。