グローバルの組織再編に伴う委託先の見直し|BASFジャパン株式会社

総務コンサルティング・総務アウトソーシング事例にお答えいただいたBASFジャパン株式会社のエントランス

ドイツに本社を置く総合化学企業のBASFジャパン株式会社。「We create chemistry for a sustainable future(持続可能な将来のために、私たちは化学でいい関係をつくります)」を企業目的(パーパス)とし、自動車、建設、医薬品・医療機器、電機・電子、包装材、パーソナルケア・ホームケア、農業・食品など、ほぼすべての産業に化学製品とソリューションを提供しています。

ゼロインは現在、BASFジャパン株式会社のリアルエステート部において、メール室業務やオフィス管理業務、社員の問い合わせ対応を行う通称「FM(ファシリティマネジメント)ポイント」の運用を計3名体制でお手伝いしています。
このFMポイントは、以前は別のアウトソーシング企業が受託していました。しかし、グローバルの組織再編によりFMポイントを含めた ファシリティマネジメント業務・体制の見直しが行われ、2022年5月にゼロインが前の委託先から引き継ぐ形でサポートを開始しました。

委託先の切り替えから業務安定化、改善提案まで、ゼロインがどのように関わり、お役に立てたのか。FMポイントを担当されているリアルエステート部 齋藤尚美さんに話をうかがいました。

お客様情報

社名
BASFジャパン株式会社
業種
総合化学メーカー
設立
1949年10月
従業員数
923名(2022年12月31日時点)

導入の目的・背景

  • グローバル方針に沿ったファシリティマネジメント業務・体制の見直し
  • 自主性、実行性、改革性をもった委託先の検討
  • 柔軟性があり数値化ができる業務運営体制

ゼロインのサポート内容

  • メール室業務の運営
  • ファシリティマネジメント業務の運営
  • オフィス管理業務
  • 社員問い合わせ対応
  • ファシリティマネジメントの業務整理・マニュアル化
  • ファシリティマネジメント業務の改善提案・実行

サポート概要

ゼロインのサポート体制
ゼロインがサポートする代表的な業務項目

グローバルの組織再編によりファシリティマネジメント業務・体制の見直しが決定。委託先に求めたのは自主性と数値化

ゼロイン:グローバルの組織再編により間接部門業務の見直しが発生し、業務委託先を再検討するタイミングでゼロインにご相談いただきました。当時のFMポイントはどのような状況だったのでしょうか。

もともとFMポイントのメール室業務は他社に委託をしていました。安定的に遂行していただき、お願いしている業務はまったく問題ありませんでした。しかし、2019年に本社から「間接部門の業務を世界の三拠点に集約し、ローカルでしかできない業務のみローカルに残す」という方針が発表されました。

そこで、この方針にもとづいて間接部門業務の見直しが行われ、日本以外の拠点でも対応可能か、協議がなされました。FMポイントの多くの業務は、ローカルに残すべきものと認められたので引き続き日本の拠点で行うことになりましたが、これまで社員が行っていた仕事の一部も外部に委託することに決まったため、委託先の見直しを行うことになりました。

ゼロイン:齋藤さんはFMポイントやメール室の業務に、どのような役割があると考えていますか。

間接業務はできていて当たり前、失敗が起きたら大問題になる仕事で、メール室業務もその一つです。

たとえば契約書のやり取りをする際、誤配達で期限に間に合わなければ、契約自体が流れてしまう恐れがあります。請求書の処理業務でも、請求書を紛失して支払いが遅れてしまうと信用問題につながります。
そのため、コロナ禍でもメール室業務は絶対に止められないエッセンシャルワークでした。メール室業務は、当たり前を当たり前にやり遂げなければならない、本当に難しい仕事です。

FMポイント横の郵便棚から各部署の担当者が郵便物をピックアップするFMポイント横の郵便棚

ゼロイン:どのような期待のもと、新しい委託先としてゼロインを選定していただいたのでしょうか。

ゼロインさんに委託をした決め手は、柔軟性と数値化でした。

FMポイントでは、現場社員から新しい要望や過去にない問い合わせが毎日のように発生します。そうしたときに「業務委託の範囲外だから」と対応が滞ることは避けなければなりません。そこで、柔軟性を持って対応いただける会社を選びたいと考えていました。

また、どれだけ委託先に業務を任せきれるかも重要なポイントでした。私は出張で不在のことも多く、まったく連絡がつかないときもあります。そうしたときに「私に確認できなければ業務に対応できない」という状態では困ります。

私たちが新しい委託先に期待していたのは、自主性を持って取り組み、既存の業務ややり方にとらわれずに実行していただけることでした。この観点で、ゼロインさんの対応には満足しています。

ゼロイン:数値化については、どのように評価いただいたのでしょうか。

FMポイントの業務は数値に落とし込むことが難しいものが多く、アウトソーシングによるメリットを社内で理解していただくのが難しい面があります。しかしながら外注費用が発生する以上、「助かっています」では通りません。「費用に対してこうした効果・成果が出ています」とエビデンスを数値で報告し、社内の理解を得る必要があります。

そうしたときに、ゼロインさんの「業務の数値化をして、効果検証ができる」ことは、他社にはない魅力でした。

ゼロインさんへの委託は、前の委託先と比較すると外注費の観点ではコストアップになるため、社内で議論がありました。ただ、もともと社員が担当していた業務まで委託範囲を広げられたことと、ゼロインさんの自主性や柔軟性、そして数値化の能力が認められたことで、社内の理解を得られました。

安定運用にとどまらず、積極的な改善提案と数値を使った業務サポート

ゼロイン:そうした期待を持ってゼロインを選択いただきましたが、実際にゼロインのサポートが始まってみていかがでしたか。

FMポイントの運用でもっとも期待することはメール室の安定運用で、郵便が確実に配達されることです。この根幹の機能はトラブルなく運用されています。さらに、付加価値として改善提案や可視化を行っていただけるので、選んで間違いなかったと感じています。

何より、ゼロインさんに委託したことで、FMポイントの業務にかかるBASF社員の工数を減らせたことが本当に助かっています。これは、社員に確認することなくゼロインさん内で完結できた業務割合を示す「自己完結率」という数値で可視化されています。

定例会の報告内容と合わせることで、日々さまざまな対応やイレギュラーが発生していても私への確認は1件だけで、ほかはゼロインさんで判断して対応いただけている、と分かるので安心します。

前の委託先からの引き継ぎが終わり、ゼロインさんの業務が安定化してからは、私は自身の業務に以前よりも集中できるようになりました。私のミッションは90%が不動産関係の業務で、FMポイントにかけられる時間はそう多くありません。そのため、FMポイントの運用は、私の要望や意図を理解してくれるパートナーをいかに見つけられるかが重要でした。

ゼロインが常駐しているFMポイントの問い合わせ受付カウンターFMポイントの問い合わせ受付カウンター

ゼロイン:改善提案を付加価値に感じていただけているという話がありましたが、印象に残っている提案はありますか。

漫然と続けていた社内便業務に疑問を持ち、見直し提案をいただけたことが挙げられます。社内便は固定されたスケジュールでの運用を続けていましたが、ゼロインさんが物量を可視化したうえで「空で送る回数がこれだけあるので、回数を減らすと、このくらいのコスト削減になります」と、金額も算出して提案していただきました。

当たり前のように続けてきた業務をプロの目線で見直して、コスト効果も併せて提案していただけるので本当に助かっています。

ほかにも、ウォーターサーバーのメンテナンス費用の見直しや、値上げを見越した備品のまとめ買い、社員の利便性を考えた文具箱の増設といった提案もありました。

こうした提案の中には、以前から「対応しなければ」と課題に感じていたものもありましたが、具体的に依頼する時間がなく、なかなか手を付けられていないのが実情でした。ゼロインさんは、そうした課題感を少し伝えるだけで素早く実現してくれます。

こうした改善は社内にアピールしなければありがたさや重要性が伝わりません。ゼロインさんは業務委託で費用が発生しているからこそ、取り組みや改善を通じた効果の社内認知を上げていくことが重要ですので、私が全社横断の会議に報告して社内にアピールしています。

ゼロイン:ゼロインは週次と月次の業務報告を大事にしています。業務報告の中で印象に残っていることはありますか。

週次報告は私とゼロインさんで行い、月次報告は副社長も参加しています。以前の委託先でも報告会は行っていましたが、私が一案として作表したフォーマットで、物量の件数が記録されているだけの内容にとどまっていました。

ゼロインさんの報告には、記録をもとに「改善しよう」という視点があります。最終的な目標の位置づけが違うのだろうと感じています。

副社長も、本当に細かいところまで目を向けて、報告を聞いています。ゼロインさんを単なる外注先とは思っておらず、社内の大事な機能と認識しているからこそ、月次の細かい話にも時間を割くべきだと考えているのだと思います。

報告に対して多くの要望が出ますが、それもゼロインさんへの期待から出る要望ですよね。FMポイントでの仕事や月次報告の内容を認め、信頼しているからこそ、未来に向けた前向きな会話ができているのだと思います。

ゼロイン:ゼロインの働く姿勢やコミュニケーションについては、どのように感じられていますか。

ゼロインさんは、聞く力に長けていると感じています。私の要望をまずは聞いて、理解した上で成果物を出してくれます。成果物に対するフィードバックにも嫌な顔をせず素直に受け止めてくれ、改善や再提案のキャッチボールができるので、コミュニケーションが取りやすいです。

あとは、ゼロインさんはみなさん、一生懸命で楽しそうに仕事をしていますよね。改善にも意欲的に取り組んでいる姿が、非常に印象的で安心する部分です。

業務の委託と言いながらも、実際に働く人たちが幸せに働いているかどうかは気になります。辛そうに働いていると、社内の雰囲気がどうしても悪くなりますし、私も心配になってしまいます。そうした心配をしなくて良いのは、実は非常に気が楽です。

ゼロインさんが意欲的に、楽しそうに働いていることは、エンドユーザーの社員にも伝わって、会社の中に良い雰囲気をもたらしていると思います。そうした雰囲気だから、社員がゼロインさんに相談しやすい、頼りやすい環境ができているのだと思います。

私がFMポイントに行くと、よく社員からのお土産や社外からの頂きものが置いてあります。社員がわざわざFMポイントまで足を運んで渡してくれるというのは、ゼロインさんと社員とで非常に良い関係ができている証で、愛されているのだなと嬉しくなります。

ゼロインのサービスと、新しいファシリティマネジメントのあり方への期待

FMポイントのカウンターに設置されたチャイムFMポイントのカウンターに設置されたチャイム

ゼロイン:今後ゼロインに期待することはありますか。

ゼロインさんのサポートが始まって1年が経ち、1年分のデータが溜まりました。今後は、それらのデータを使った分析とさらなる改善に期待しています。同時に、そうしたデータやノウハウを活用して、他拠点でもゼロインさんのサービスを広げていくことも想定しています。他社の取り組みや世の中の傾向、定量的な情報を役員から聞かれることが多いので、ゼロインさんが持つ実例や知見を共有していただきながら提案していきたいと考えています。

また、ゼロインさんの組織全体での総合的なサポートにも期待をしています。

以前、オフィスマニュアル作成を依頼した際、FMポイントを窓口にして、ゼロインさんのスポット業務対応部署が業務を行ってくれました。

FMポイントはメール室業務の安定運用が最重要業務のため、新しい業務を相談する際は既存業務の品質が担保されるのか心配になりますが、ゼロインさんの他部署がリソースを捻出してくれたので、安心して依頼できました。

ゼロインさんにはオフィスデザインやプロジェクトマネジメントを行うファシリティ専門部署もあり、紹介いただいて相談したこともあります。FMポイントを通じて当社の状況をよく理解いただいている上で、ファシリティマネジメントのことを総合的に相談できるのは非常に助かります。

FMポイントの担当社員は私1人ですが90%が不動産業務を占めます。ですので、安心して任せられるパートナー企業といかにお付き合いできるかが非常に重要です。

ゼロインさんに何をどこまで依頼できるのか、少しずつ確認しながら、業務をお願いしていきたいと思っています。

BASF様とゼロインの体制図

ゼロイン:BASF様における今後のファシリティマネジメントのあり方や構想を教えてください。

同じことをやり続けるファシリティマネジメントではおもしろくないですよね。

たとえば、最近ではオフィスの意義や利用方法が変わってきています。オフィスに戻る機運も強いとは言いつつ、当社はオフィス出社とテレワークが共存するハイブリッドスタイルを数年続けると思います。そうしたときに、オフィスのニーズや、オフィスが提供しなくてはいけないものも変わってきます。

ゼロインさんには、そうした未来を見据えて、整理・提案してほしいと期待しています。前例がなく初めての世界ですので、私の知識では足りません。だからこそ、ゼロインさんのようなファシリティマネジメントのプロによる全面的なバックアップが必要になりますし、ゼロインさんなら一緒に実現していけると思っています。

人でなければできない仕事が少なくなる中で、ファシリティマネジメントとして何をすべきかを考えると、新しいファシリティマネジメントのあり方が生まれてきます。そうした新しいファシリティマネジメントのあり方を想像するとワクワクしますし、ゼロインさんも一緒にやれると楽しいのではないかと思います。

BASF内で日本のファシリティマネジメントがファーストランナーとなり、グローバルに新しいファシリティマネジメントのあり方を広めていくことができたら、非常に嬉しいですよね。

ゼロイン:新しいファシリティマネジメントのあり方をゼロインが一緒につくり、日本がリードしながらグローバルに展開していく未来、非常にワクワクしますね。最後に、齋藤さんにとってゼロインはどのような存在かお聞かせください。

「間接部門の切り出し」という言葉が数年前によく聞かれました。それでは冷たい感じがしますし、一緒に仕事をしている感じもしません。お金を払い、サービス提供を受けるだけ、という感じがします。

ゼロインさんは委託先の企業ではありますが、「切り離されたファシリティマネジメント部門が外にある」のではなく、一緒にやっている一体感や仲間意識を常に感じられています。本当に親身になってくれるので信頼できますし、私にとっては家族が増えた感じでお付き合いができています。

BASF様のオフィスエントランスオフィスエントランス
FMポイントの案内表示FMポイントの案内表示

担当者の想い

ゼロインの常駐開始から1年が経過したタイミングで、このような評価をいただけたことを嬉しく思います。ゼロインに任せていただいたからには「期待以上の価値をお返ししたい」という思いで日々業務を行ってきました。

ゼロインの強みは、決められた業務を漫然と代行し続けるのではなく、事象・課題の本質や業務の目的を見定めて、常により良いプロセスを考えながら改善・実行することにあります。この1年、どうすれば社員のみなさまが使いやすく分かりやすいか、どうすれば効率が良くなるのか、ゼロインの一人ひとりが日常の気づきを大切にし、共有し合いながら、大小さまざまな改善を実行しました。

そうした改善に気づいた社員のみなさまから声をかけていただくことも多く、そうした感謝の声が私たちのさらなる原動力になっています。

定例会の場でも改善の成果を称賛いただいていますが、意見やアドバイスもいただけ、副社長や齋藤さんと同じ方向を向いて目指す姿に向けた議論ができることを、何より嬉しく思っています。

BASF様とゼロインで目指す「国内の全社員がコア業務に注力でき、生産性高く働ける環境を、安定的に提供し続ける総務」の実現に向けて、これからも伴走して参ります。

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