総務アウトソーシングに求められる価値の変化 月刊総務×ゼロイン対談(1/3)

株式会社月刊総務の代表取締役社長 豊田 健一さん(左)と株式会社ゼロインの代表取締役 大條充能(右)

総務アウトソーシングに求められる
価値の変化

専門家が少ない総務は、総務アウトソーシングで知見を活用

今回の企画では、総務専門誌『月刊総務』の豊田編集長と総務専門アウトソーシング会社ゼロインの大條充能が、これからの総務を全3回で語ります。最初のテーマは、総務アウトソーシングの動向です。総務を始めとした間接部門のアウトソーシング需要は、今後どのように変化するのでしょうか。

豊田 これからの時代、プロの知見を活用しない手はないと思います。アウトソーシングされる業務は基本的に間接部門のノンコア業務だと思いますが、アウトソーシング会社にとってはコア業務です。アウトソーシング企業はコア業務への投資を惜しみませんので、高い品質のサービスを受けられます。

総務サービスを受ける直接部門の社員に視点でも、プロからサービス提供を受けられた方がより良い総務サービスを期待できます。間接部門のノンコア業務をアウトソーシングすることで、サービスレベルを上げながら戦略業務に集中するための時間を捻出していく、という流れは止められないと思います。

『月刊総務』編集長 豊田健一氏『月刊総務』編集長 豊田健一氏

大條 私も同感です。今後は労働人口が減少するので、管理部門や間接部門は専門家にアウトソーシングをして、社員は事業成長に直接関与する直接部門に再配置する意思決定が経営の重要な役割だと考えています。アウトソーシングする目的は「コスト削減のため」から「優秀な自社人材を、利益を生む部門に再配置するため」という方向に進むと思います。

そのため総務が扱う業務範囲は企業によってさまざまで、領域も幅広いため専門性は定義しづらくなっています。そして業務範囲が明確でないからこそ、アウトソーシング企業が果たす役割は大きいと感じています。それは、いろいろな総務の在り方・業務領域を知っているからこそ、総務の専門家としてアドバイスできることがあるからです。

株式会社ゼロイン 代表取締役 大條充能株式会社ゼロイン 代表取締役 大條充能

総務アウトソーシング企業に必要な現場経験と再現性

豊田 ところで、私はゼロインの強みは社長の大條さんがリクルートで総務を経験されて、総務視点を深く理解している点にあると思います。総務で大事なことは、現場の温度・空気感を理解しているかどうかです。

業務スキルや総務の知識もさることながら、センスや落としどころが見えるか、提案できるか、総務担当者の気持ちがわかるか、といった現場経験を通した説得力が大事だと思います。この説得力がアウトソーシング会社を選ぶ最後のポイントではないでしょうか。

大條 たしかにリクルートでの総務マネジャーを経てゼロインを立ち上げたバックグラウンドは、お客様にとても共感いただけます。自身の経験から、ゼロインでもメンバー全員が総務としての知見を積めるような教育体系を構築しています。

最近はアウトソーシングを利用している企業が、アウトソース先に依存し過ぎているケースが散見されることに問題意識を持っています。

豊田 アウトソーシング先への依存とは、どういうことでしょうか?

大條 業務を完全にアウトソースして任せた結果、総務業務の実態がブラックボックス化してしまい、認識のないままサービスレベルが低下してしまうケースです。ゼロインはお客様のオフィスに常駐してサービスを提供していますが、総務スタッフの現場経験やスキルのみに頼るのではなく、業務の見える化を徹底してオープンにすることでブラックボックス化を防いでいます。

たとえば業務を分解して誰でも担当可能な業務マニュアルを作ることが、非常に重要なミッションになっています。そうすることで、スタッフの異動が発生してもサービス品質を下げずに短期間で引き継ぎをおこなうことができ、安定的に総務を運用し続けることが可能になります。

業務をできる限りオープンにしながら再現性を担保することは、ゼロインが提供するアウトソーシングの価値です。そのほかにも、業務改善をおこないながら業務や量を増やして生産性を高めるノウハウも我々の価値です。

あるお客様では、営業サポートを担当する庶務部門が総務と同領域の仕事をおこなっており、庶務と総務の業務を集約することで全社的な間接部門の効率化を実行したことがあります。

戦略総務の実現には、戦略アウトソーシング企業が必要

大條 一般的なアウトソーシング企業は「お客様から任された範囲の仕事をやり遂げること」がゴールですが、ゼロインはお客様の生産性向上を常に目指しています。業務ごとに所要時間を計測し、無駄がないかをレビューしてお客様に報告します。

さらに「この業務を改善して生産性を上げました」「空いた時間でほかの業務を集約できます」といった追加提案をおこないます。これは多くの総務を知っている総務の専門家だからこそ、できる価値提供だと考えています。

豊田 受託時のやり方で委託業務を遂行し続ける従来型のアウトソーシングが管理型アウトソーシングだとすると、ゼロインは戦略型アウトソーシングと言えるかもしれませんね。戦略総務とはみずから変わっていくことですから、アウトソーシーも戦略型へと変わっていく必要があります。

大條 他社のアウトソーシングを導入している企業様から「現在のアウトソーシング企業が変化に対応してくれない」という不満を持ち、ゼロインにお問い合わせされるケースも増えています。

そうしたお客様に「この業務を改善して時間ができたので、別の業務に取り組みます」という改善・提案をゼロインが定期的におこなっている話をすると「そんなことができるんですか?」と驚かれます。アウトソーシングをはじめて検討される企業様にも、決まったことだけをやり続けるアウトソーシング企業で大丈夫か?という観点で見ていただきたいです。

豊田 戦略的な総務を目指すのであれば、変化に対応してくれるかどうか、アウトソーシーをきちんと選ぶ必要があります。同じお金をかけるならどちらを選びますか、ということです。「戦略総務になる」というのは総務自身が常に変化し続けることです。そのためには戦略的なアウトソーシング企業の見定めが重要ですね。

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