定着率向上を実現する業務改善とは?残業削減から始める離職防止策

従業員の定着率は、労働力人口が減少する日本において、企業の成長を左右する重要な指標です。特に総務が抱える雑務に起因する残業増加は、従業員の負担を高め、離職へとつながる大きな要因となっています。本記事では、定着率の基本から計算方法、定着率が低下する原因、そして業務改善を通じた定着率向上の取り組みまで、総務担当者が実践できる定着率向上の方法を解説します。

目次

定着率とは 定着率の定義 定着率が注目される背景 計算方法と平均値 定着率の計算方法 業界別・企業規模別の平均値 定着率が低下する原因 労働環境の問題 評価制度・報酬への不満 キャリアパスの不明瞭さ 人間関係のトラブル 雑務による残業増加が離職につながる理由 雑務が業務時間を圧迫するメカニズム 残業増加がもたらす心身への影響 ワークライフバランスの崩壊と離職の関係 定着率向上のための業務改善ステップ ステップ1:現状の業務を可視化する ステップ2:業務の優先順位を見直す ステップ3:業務プロセスを再構築する ステップ4:改善効果を測定する 定着率向上に効果的な7つの施策 施策1:業務の標準化とマニュアル化 施策2:ITツールによる業務効率化 施策3:不要な業務の削減 施策4:適切な人員配置の見直し 施策5:柔軟な働き方の導入 施策6:従業員のスキルアップ支援 施策7:コミュニケーション機会の創出 定着率向上における課題 業務改善に取り組む時間がない 業務の属人化が進んでいる 改善のノウハウが社内にない 一時的な負担増加への懸念 効果的な解決策 解決策1:業務改善コンサルティングの活用 解決策2:業務アウトソーシングの活用 まとめ 定着率向上をサポートする株式会社ゼロインの総務アウトソーシング

定着率とは

定着率とは、企業の人材管理や働き方改革を考えるうえで欠かせない指標です。ここでは、定着率の基本的な意味と、なぜ定着率の向上が求められているのかについて解説します。

定着率の定義

定着率とは、ある一定期間において、企業に在籍し続けている従業員の割合を示す指標です。一般的には、入社した従業員がどれだけ長く会社にとどまっているかを数値で表します。たとえば、1年間で新たに入社した人のうち、翌年も在籍している人の割合を「1年後の定着率」と呼びます。

定着率が高いほど、従業員が安心して働き続けられる職場環境が整っていると考えることができます。逆に短期間での定着率が低い場合は、何らかの致命的な課題が潜んでいる可能性が高まります。総務担当者が定着率を意識することで、組織の課題を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。

定着率が注目される背景

近年、定着率に対する注目度が高まっており、経営者や管理職はこの数字に注目しています。その背景には、働き方の多様化と人材不足の深刻化があります。

人手不足が続く中で、苦労して採用した人材が短期間で辞めてしまうと、採用コストや教育コストが無駄になり、企業の成長に大きな影響を及ぼします。また、従業員が長く働き続けてくれることで、業務ノウハウや経験が蓄積され、組織全体の生産性も向上します。

計算方法と平均値

定着率を向上させるには、まず自社の現状を正しく把握することが大切です。ここでは、定着率の計算方法と業界別の平均値について解説します。

定着率の計算方法

定着率の計算方法はシンプルで、一般的には「定着率=(期間終了時点で在籍している対象者数÷期間開始時点の対象者数)×100」となります。ある年に新たに10人が入社し、1年後に8人が在籍していれば、1年後の定着率は80%です。期間は1年、3年、5年など企業によってさまざまですが、1年後や3年後の定着率がよく使われます。

大切なことは、毎年同じ基準で計算し、推移を比較できるようにすることです。定着率が低下している場合は、働き方や職場環境に何らかの課題が潜んでいる可能性があります。

業界別・企業規模別の平均値

定着率の平均値は、業界や企業規模によって大きく異なります。製造業やインフラ系の企業は比較的定着率が高く、1年後で90%前後、3年後でも80%を超えることが多いです。一方、サービス業や小売業、飲食業などは人の入れ替わりが激しく、1年後の定着率が70%前後、3年後では50%台に下がることも珍しくありません。

また、大企業ほど定着率が高い傾向があります。中小企業の場合、1年後の定着率が80%前後、3年後は60%台というケースも見られます。自社の定着率が平均より低い場合は、業界や規模の特性をふまえ、どこに問題があるのかを探ることが大切です。

定着率が低下する原因

定着率が下がる背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。ここでは、主な原因について4つの視点から解説します。

労働環境の問題

働く環境が整っていないと、従業員の心身に負担がかかりやすくなります。長時間労働や休日出勤が常態化している職場では、疲れがたまりやすく、仕事への意欲も低下します。オフィス設備が古い、作業スペースが狭いといった職場環境も影響が大きく、日々の業務がスムーズに進まずストレスの原因となります。こうした労働環境の問題が積み重なることで、従業員は不安を感じ、転職を考えるきっかけになってしまいます。

評価制度・報酬への不満

自分の努力や成果が正しく評価されていないと感じると、働く意欲は大きく損なわれます。評価基準の曖昧さや、上司の主観に左右されるなど、公平性に疑問を持つ人も少なくありません。また、給与や賞与が業績や貢献度に見合っていないと、不満が蓄積しやすくなります。こうした評価や報酬への不満は、仕事に対するモチベーションを下げ、離職につながる大きな要因となります。

キャリアパスの不明瞭さ

将来のキャリアが見えにくい職場では、長く働き続けるイメージを持ちにくくなります。昇進や異動の基準が明確でない、スキルアップの機会が限られている、そうした環境があると、自分の成長が止まってしまうのではないかという不安が生まれます。目指すべきロールモデルが社内にいない場合も、将来像を描くことができなくなります。キャリアパスの不明瞭さは、特に若手社員の離職を招きやすくなります。

人間関係のトラブル

職場での人間関係は、働きやすさに直結する重要な要素です。上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかないと、孤立感やストレスを感じます。パワーハラスメントやいじめなどの問題が発生すると、安心して働ける環境が損なわれます。人間関係のトラブルは、仕事の成果やモチベーションにも悪影響を及ぼし、最終的には離職を選ぶ人が増えることになります。

雑務による残業増加が離職につながる理由

日々の業務の中で雑務が増えると、残業が常態化しやすくなります。こうした状況はその組織の従業員の負担を大きくし、離職につながります。

雑務が業務時間を圧迫するメカニズム

日々発生する細かな雑務が積み重なると、次第に業務時間が圧迫されていきます。書類整理やデータ入力、会議資料の準備など、一つひとつの雑務は短時間で終わる作業であったとしても、その数が増えると大きな時間を奪われます。その結果、重要な業務に割く時間が足りなくなり、残業で補うことになります。特に総務部門では全社的なサポート業務が多く、突発的な対応も頻繁に発生するため、雑務の量が増えやすい傾向にあります。

残業増加がもたらす心身への影響

残業が増えると、心身への負担も大きくなります。長時間働き続けることで疲労が蓄積し、集中力や判断力が低下します。さらに、プライベートの時間も仕事のことが頭から離れなくなることがあります。こうした状態が続くと、ストレスがたまりやすくなり、体調を崩すことも少なくありません。睡眠不足や食生活の乱れなど、生活リズムが崩れることで、心の健康にも悪影響を及ぼします。

ワークライフバランスの崩壊と離職の関係

雑務による残業が続くと、ワークライフバランスが崩れます。自分の時間や家族との時間が十分に取れなくなり、プライベートを犠牲にしてまで働かなければならない状況が続くと、仕事への満足度は大きく下がります。働き方改革が進む現代では、仕事と生活のバランスを重視する人が増加しています。ワークライフバランスが保てない職場環境では、従業員が「このまま働き続けるのは難しい」と感じ、離職の選択肢を検討することになります。

定着率向上のための業務改善ステップ

定着率を高めるためには、日々の業務を見直し、働きやすい環境を整えることが欠かせません。ここでは、実践しやすい業務改善の4ステップを紹介します。

ステップ1:現状の業務を可視化する

まず最初に取り組むべきは、現在どのような業務が、どれだけ発生しているかを明らかにすることです。日々の業務を一つひとつ洗い出し、担当者や所要時間、頻度などを整理します。現状を可視化することで、どの業務が負担になっているのか、無駄や重複がないかを客観的に把握でき、改善の優先順位や課題が見えやすくなります。

ステップ2:業務の優先順位を見直す

業務の全体像が見えてきたら、それぞれの業務が本当に必要かどうか、またどれが最も重要かを考え直しましょう。定型的な作業や緊急性の低い業務に多くの時間を割いていないか、見直すことが大切です。優先順位をつけることで、限られた時間や人員を有効に使えるようになり、残業の削減や従業員の負担軽減につながります。

ステップ3:業務プロセスを再構築する

優先順位を整理した後は、業務の進め方自体を見直します。手作業が多い部分を自動化したり、属人的だった業務を複数人で分担できる仕組みに変えることで、効率化や平準化が期待できます。現在の手順を見直して、不要な手順や重複作業を省くことも重要です。業務プロセスを再構築することで、従業員一人ひとりの負担が減り、働きやすさが向上します。

ステップ4:改善効果を測定する

業務改善を実施した後は、その効果を測定しましょう。残業時間の減少や業務の効率化、従業員の満足度など、具体的な数値や声を集めて評価します。改善の成果を可視化することで、取り組みに対するモチベーションが上がりますし、次の課題やさらなる改善点を見つけやすくなります。継続的な振り返りが、安定した職場づくりの鍵となります。

定着率向上に効果的な7つの施策

定着率を高めるためには、日々の業務の見直しや働きやすい環境づくりが欠かせません。次に、効果が期待できる7つの施策を紹介します。

施策1:業務の標準化とマニュアル化

業務のやり方が人によって異なると、引き継ぎや新人教育に時間がかかり、ミスが起こりやすくなります。業務を標準化し、誰でも分かるマニュアルを整備することで、作業の属人化を防ぎ、誰が担当しても一定の品質を保てるようになります。

施策2:ITツールによる業務効率化

紙や手作業に頼った業務は時間がかかります。勤怠管理や書類作成、情報共有などにITツールを導入することで、作業の自動化や効率化が進みます。従業員は本来の業務に集中できるようになり、残業の削減やストレスの軽減にもつながります。

施策3:不要な業務の削減

日々の業務の中には、慣例の中で実施しているものの、実はやらなくてもよい作業や重複する手順が含まれていることがあります。こうした不要な業務を洗い出して削減することで、従業員の負担が大きく減ります。時間に余裕が生まれれば、より重要な仕事に集中できます。

施策4:適切な人員配置の見直し

業務量に対して単純に人手が足りていない場合、一人ひとりの精神的・体力的な負荷が大きくなります。業務量を把握して適切な人員配置へと見直すことで、業務の偏りを解消し、無理なく働ける環境をつくることができます。

施策5:柔軟な働き方の導入

テレワークや時差出勤など、柔軟な働き方を取り入れることで、従業員のライフスタイルに合わせた働き方が可能になります。家庭の事情や体調に合わせて働ける環境は、安心感を生み、長く働き続けたいという気持ちを後押しします。業務一覧化や業務特性の洗い出して、業務を分類することで、柔軟な働き方に対応しやすくなります。

施策6:従業員のスキルアップ支援

従業員が成長を実感できる環境を準備することは、定着率向上に直結します。会社が積極的に研修や資格取得の支援を行うことで、「この会社で得られること」を具体的にイメージすることができ、仕事への自信ややりがいへとつながります。また、会社がスキルアップの機会を提供することによって、従業員は会社に貢献したいという気持ちが強くなります。

施策7:コミュニケーション機会の創出

職場でのコミュニケーションが活発になると、チームワークが向上し、困ったときにも相談しやすくなる、助け合える雰囲気が生まれます。定期的なミーティングや雑談の場を設けることで、悩みや不安を共有しやすくなり、職場への愛着も深まります。

定着率向上における課題

定着率向上を目指す際には、理想と現実の間にさまざまな課題が立ちはだかります。ここでは、総務部門が直面しやすい代表的な課題について解説します。

業務改善に取り組む時間がない

日々の業務に追われている状態では、業務改善に割けるまとまった時間を確保することが難しくなります。特に総務部門は突発的な依頼やルーティンワークが多く、そうしたイレギュラー対応に追われて気づけば一日が終わっていることも少なくありません。業務の見直しは重要だと分かっていても、目の前の仕事を優先せざるを得ない状況が起こり得るのが実情です。

業務の属人化が進んでいる

業務が特定の人に依存してしまう「属人化」は、多くの企業で見られる課題です。特に潤沢な人材を配置することが難しい総務では、少ない人数で業務に対応する必要があります。特定の担当者しか分からない手順やノウハウが蓄積されると、他のメンバーが業務を引き継ぐことが難しくなります。その結果、担当者の負担が増えると同時に、急な休職や退職が発生した際に業務に対応できないリスクが高まります。

改善のノウハウが社内にない

業務改善を進めたいと思っても、具体的にどこから、どのように着手すればよいのか分からない、という悩みもよく聞かれます。過去に大きな業務改善の経験がない、社内に専門的な知識を持つ人材がいない、そうした場合、改善の進め方や効果測定の方法が分からず、手探り状態になってしまいます。

一時的な負担増加への懸念

業務改善を進める際には、現状の業務の見直しや、新しい仕組みを導入するために、一時的に負担が増えてしまいます。この負担は一時的なものですが、現場からネガティブな声が上がることも少なくありません。しかし、この一時的な負担を乗り越えなければ現状が改善されることはなく、長期的な定着率向上にはつながりません。

効果的な解決策

定着率を高めるためには、外部の専門家やサービスを上手に活用することも重要です。ここでは、2つの効果的な解決策についてご紹介します。

解決策1:業務改善コンサルティングの活用

業務改善コンサルティングは、社内の業務を客観的に分析し、効率化や最適化のための具体的な提案を行うサービスです。第三者の視点を取り入れることで、普段は気づきにくい課題や無駄を明確にできます。特に、業務の属人化や改善ノウハウの不足している企業においては、幅広い業種・規模の業務に精通するコンサルタントの知見が大きな助けとなります。業務の可視化や優先順位の整理、プロセスの再構築など、段階的なサポートを受けることで、現場の負担を最小限に抑えつつ着実な改善が期待できます。

解決策2:業務アウトソーシングの活用

業務アウトソーシングは、日々の雑務や定型業務を外部の専門業者に委託することで、社内のリソースを本来注力すべき業務に集中させる手法です。総務部門では、書類作成やデータ入力、備品管理など、時間を取られる業務が多く存在します。これらをアウトソーシングすることで、担当者の負担が大きく軽減され、残業の削減やストレスの緩和が期待できます。また、社員がより影響力の大きな企画業務や戦略業務に注力する余力を生みだすことにもつながります。専門業者は業務の効率化や品質向上に長けているため、社内で行うよりも正確かつスピーディーに対応してくれます。

まとめ

定着率が低下する背景には、労働環境や評価制度への不満、キャリアパスの不明瞭さ、人間関係のトラブルなど、さまざまな要因が絡み合っています。特に雑務の増加による残業は、従業員の心身に負担をかけ、ワークライフバランスの崩壊を招きます。

こうした課題を解決するためには、業務の可視化や優先順位の見直し、プロセスの再構築といった段階的な業務改善が有効です。業務の標準化、ITツールの活用、不要な業務の削減、適切な人員配置、柔軟な働き方の導入、スキルアップ支援、コミュニケーション機会の創出など、具体的な施策を組み合わせることで、従業員の働きやすさを高めることができます。

一方で、業務改善に取り組む時間がない、属人化が進んでいる、ノウハウがない、一時的な負担増加が心配といった課題も存在します。こうした場合は、外部の業務改善コンサルティングやアウトソーシングの活用も選択肢となります。

定着率向上は一朝一夕で実現できるものではありませんが、着実な業務改善の積み重ねが、従業員の満足度や会社全体の成長につながります。まずは自社の現状を正しく把握し、できることから一つずつ取り組んでいくことが、離職防止と定着率向上への近道となります。

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